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執筆者の写真Takayuki Suzuki

琴線に触れる、組織が動く


 経営の現場で、プロジェクトはしばしば「修羅場」と形容されます。短期間で成果を求められるだけでなく、メンバー全員が自己の限界を試されるような挑戦を繰り返す場です。先日、私が担当した中期経営計画策定プロジェクトも、その例外ではありませんでした。


 成果発表会の壇上で、プロジェクトメンバーのプレゼンを見守りながら、私自身も胸が熱くなる瞬間を幾度も味わいました。クライアントの会長や役員が発した「非常に良い出来だ」「感激した」という言葉が、彼らの努力の成果を物語っていました。しかし、もっと大きな喜びは、そのプロジェクトが組織全体に与えた「心の震え」や「感動」でした。これは単なる成果物ではなく、組織の変革そのものを加速させる力となったのです。


 

プロジェクトが生む「感動の瞬間」


 経営診断からスタートしたこのプロジェクトでは、組織の現状を丹念に洗い出し、経営課題を具体化しました。次に経営方針や事業計画を練り上げ、最終的には実現可能なアクションプランを策定しました。その過程で、プロジェクトメンバーは何十回も議論し、リハーサルを繰り返しました。


 一連のプロセスを経て、メンバーは次第に「自分の仕事が会社の未来を形作るのだ」という責任感を抱くようになりました。この気づきこそが感動の種です。そして、メンバー一人ひとりが会社の未来に共感し、心から自分ごととして捉えたとき、彼らの発言や行動に変化が生まれました。


 「感動は人を動かす」とよく言われます。それは決して抽象的な話ではありません。心が震える体験は、人材の成長を加速させ、組織全体のエネルギーを高めます。


 

感動体験が組織を一体化する


 プロジェクトを進める中で、あるメンバーがこんなことを言いました。

「最初は、ただ与えられた課題を解決するだけだと思っていました。でも今では、自分が考えたアイデアが会社の未来を作るんだと実感しています。」


 この言葉は、感動体験が組織の一体感を生む力を象徴しています。感動は個人の内面で起きるものですが、それがチームに共有されると、一体感という形で外部に表れます。そして、この一体感が変革を起こす原動力となります。


 

組織が動くための条件


 感動体験を通じて組織が動き出すには、いくつかの重要な条件があります。


1. 明確なビジョンの提示

 経営方針や事業計画が具体的で、組織全体がその方向性を共有できる状態を作ることが重要です。プロジェクトが成功した背景には、経営層が目指す未来像が明確だったことが挙げられます。


2. メンバーの「自分ごと化」

 アクションプランの策定には、メンバー全員が主体的に参加することが求められます。ただ指示を受けるだけではなく、自らの考えで動ける環境を整えることが大切です。


3. 成果を共有する場の設置

 成果発表会のように、努力の結果を認め合う場があることで、感動がメンバー全員に広がります。こうした場は、モチベーションを維持し、次の挑戦への意欲を高めるきっかけになります。


 

組織変革を加速させる感動の力


 経営課題は複雑で、解決には時間がかかることが多いです。しかし、「心が動く瞬間」を設計することで、そのプロセスを劇的に短縮することが可能になります。感動は人材の成長を促し、組織全体にポジティブな波及効果をもたらします。


 私たち経営コンサルタントの役割は、ただ解決策を提示するだけではありません。「琴線に触れる瞬間」を作り出し、それを組織全体の原動力に変えること。それこそが本質的な支援です。


 

最後に


「このプロジェクトを通じて、組織が一つになり、未来に向けて進む自信がついた。」


 成果発表会の後、クライアントの会長がこう話してくれました。この言葉にこそ、プロジェクトの意義が詰まっています。私たちが携わる経営診断や事業計画の策定は、単なる作業ではなく、企業の未来を切り拓く旅路なのです。


 経営者や経営企画担当者の皆様へ自社の未来を動かす旅路を始めてみませんか?具体的な経営診断や課題解決の手法について知りたい方は、ぜひ当社ホームページをご覧ください。


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