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コンサルは会社を救えても、人間は救えない

  • 執筆者の写真: Takayuki Suzuki
    Takayuki Suzuki
  • 2024年10月14日
  • 読了時間: 4分

 私が事業再生コンサルタントをしていた際に、上司から「事業再生コンサルタントは会社を救えても、人間は救えない」という言葉をよく言われました。コンサルタントがもつ役割とその限界です。

 本記事では、経営者や経営企画担当者に向けて、コンサルタントを活用する際の有用性を示す一方で、「コンサルに頼り切ってはダメ」というメッセージも伝えます。コンサルティングの本質を理解し、企業の持続可能な成長を目指すためには、外部専門家の力をどう使い、また自社内でどのような主体的な取組みが必要かを深掘りします。


経営診断と事業計画の重要性


 企業は常に変化する市場や内部環境にさらされ、経営課題を抱えるものです。そこで、コンサルタントが行う経営診断が役立ちます。例えば、現状の財務分析や内部プロセスの見直しによって、改善すべき領域を特定し、経営管理の精度を向上させることができます。さらに、事業計画の策定では具体的な目標やアクションプランが欠かせません。ここでコンサルタントは、市場分析やPDCAサイクルを活用し、実行可能な計画を提案します。


 しかし、こうした支援はあくまで「計画の質」を高めるものであり、その計画を成功に導くのは経営者自身の意思決定と現場の力です。


経営課題を解決するためのコンサルタントの役割


 コンサルタントは、企業が抱える複雑な経営課題に対して専門知識と客観的な視点を提供します。具体的には、以下のようなシーンで効果を発揮します。


  • 新規事業立ち上げ:市場分析と戦略設計を支援

  • 経営方針の見直し:事業ポートフォリオの整理と経営資源の再配分

  • アクションプランの策定:短期的な施策から中長期的な戦略へとつなぐ橋渡し


 このように、外部からの支援を受けることで企業は複雑な問題の解決に向けた判断を下しやすくなります。しかし、ここには一つの落とし穴があります。すべての判断をコンサルタント任せにすることで、経営陣が自らの「意思決定責任」を曖昧にしてしまうリスクです。


コンサルタントに頼り切ってはダメ!


 経営者や企画担当者にとって、コンサルタントは頼れる存在である一方、あくまで「支援者」に過ぎません。会社の運命を左右する最終的な決断は、経営者自身が下す必要があります。以下の点で、コンサルへの依存が危険である理由が見えてきます。


  • 長期的視点の欠如

    コンサルタントは短期的な成果を重視しがちですが、企業の成長には長期的な視野が不可欠です。経営者が自社のビジョンを明確に持たなければ、コンサルの施策は一時的な改善に留まります。


  • 組織文化の摩擦

    外部のアプローチをそのまま導入すると、社内文化との不整合が生じることがあります。現場の従業員が施策に対して理解や共感を得られなければ、実行段階で停滞します。


  • 学びの喪失

    コンサルタントに任せきりになると、経営陣やスタッフが「自分たちで考える力」を育む機会を失います。会社の自走力を高めるためには、コンサルが去った後も使える知見を自社で蓄積することが重要です。


経営方針と実行力を両立するためには?


 経営方針を策定し、持続的な成果を上げるためには、以下の2つが両輪として機能する必要があります。


  1. 外部知見の活用

    • 経営課題の整理や事業計画策定では、コンサルタントの力が有用です。特に、客観的な視点や専門的な分析は社内だけでは得がたい価値があります。

    • PDCAサイクルの徹底を図り、施策の進捗を可視化することで、経営管理を強化することが可能です。


  2. 内部の主体性の強化

    • 重要なのは、コンサルから得た知見をもとに「自分たちで判断し、行動できる組織」を作ることです。アクションプランを策定する際、関係者が主体的に関わることで、現場レベルでの理解が深まります。

    • 特に、従業員とのコミュニケーションを強化し、組織全体で一体感を醸成することが実行力を高めます。


コンサルと経営者の理想的な関係とは?


 コンサルタントをうまく活用するためには、経営者が「相談相手」として位置づけ、主導権を持つことが不可欠です。以下のような関係が理想です。


  • パートナーシップの構築:一方的な依存ではなく、相互にアイデアを出し合う関係を築くことで、より良い施策が生まれます。

  • 意思決定の透明性:コンサルの提案に対しても、経営者自身が「なぜこの施策が必要か」を説明できるようになることが重要です。

  • フィードバックと改善:PDCAサイクルの回転を通じて、提案の実行結果を共有し、次の計画策定に活かすことが成功の鍵です。


結論:コンサルは羅針盤、舵を握るのは経営者


 コンサルタントは、経営診断や経営課題の解決において非常に有用なパートナーです。しかし、最終的に舵を握り、事業計画を成功へ導くのは経営者自身です。経営者が自社のビジョンと戦略を明確に持ち、組織を牽引していくことが不可欠です。コンサルティングを上手に活用しながらも、頼り切ることなく、主体的に行動する姿勢が長期的な成功をもたらします。



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